本研究では、励起状態分子内プロトン移動(Excited-State Intramolecular Proton Transfer、ESIPT)の性質を有するオレンジ発光材料HBT-TPAを開発した。本材料は、ESIPT単位として2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンズチアゾール(HBT)を用い、強い電子供与基であるトリフェニルアミン(TPA)で修飾されており、分子のアルコール型およびケトン型異性体の励起状態が混合局所電荷移動状態(Hybridized Local and Charge Transfer State、HLCT)特性を示す。HBT-TPAを発光材料としたOLEDデバイスはオレンジ色の発光を示し、電気発光スペクトルのピーク波長は576 nmで、国際照明委員会(Commission Internationale de l´Eclairage、CIE)の色座標は(0.5007±0.0016、0.4883±0.0008)である。デバイスの最大外部量子効率および最大電流効率はそれぞれ2.0%および5.0 cd/Aで、29.3%~43.9%の励起子利用率を達成した。比較的高い励起子利用率は、ESIPT発光材料中のケトン型異性体による高レベル逆系間交差(High-lying Reverse Intersystem Crossing、hRISC)の熱励起子メカニズムによって実現している。